この手の本は最新のものを読むべきですが、これは20年前の本です。しかし読んでみると大変良い本でしたので、是非お勧めさせてください。
体に悪い化学物質を紹介した本は沢山ありますが、この本は毒性に対する反論も紹介されていて、信憑性は高いです。いきなりppmの説明から始まりますが、絶対量ではなく濃度だという意味が解れば十分です、他にもたくさん化学物質の名前が出てきますが、とりあえずは暗記する必要はないので気後れせずに最初からしっかり読んでいただきたい本です。
特に、妊娠されていたり、小さなお子様がいらっしゃる方、子供が欲しいとお考えの方にお薦めです。
ただ、情報の量や新鮮さに関しては別の本を読むか、ネットなどで追加する必要があります。
例えば5章で遺伝子組み換え食品に触れていますが、残念なことに除草剤ラウンドアップのことがラウンドアップレディーと書かれています。ラウンドアップレディーとは除草剤ラウンドアップの耐性をつけた遺伝子組み換え大豆やトウモロコシのことです。
発行された2000年頃にはまだグリホサート系除草剤の危険性はそれほど研究されていなかった時代で、参考資料も少なかったのだと思います。心苦しいのですがブログ主として、この本の肩を持たせてください。こう言った間違い1カ所でも信憑性が大きく損なわれる可能性がありますが、、、その代わり2・4-D系除草剤(いわゆる枯葉剤の成分)については書かれていますので、何卒お願いいたします。
そして12章でお茶をとても薦めています。体内にある環境ホルモンの排出や抗酸化作用があるらしいです。
しかし日本のお茶の残留農薬基準値は世界的にも甘く、飲む農薬とまで言われているそうで、お茶が良いからと言ってネオニコチノイドなどの農薬をたくさん使って効率よく大量生産されたペットボトルのお茶を飲むのもどうかと思います。
2015年には緑茶が台湾で廃棄処分されています。
(台北 16日 中央社)衛生福利部食品薬物管理署
検査で不合格となったのは主に農産品と加工商品で、日本からの輸入品のうち、ネギ、みかん、緑茶などが残留農薬に関する規定に違反。
「ペットボトル お茶 ネオニコチノイド」で検索すると沢山出てきますので、高くても無農薬のお茶を選ぶようにしたほうが良さそうです。無農薬の農家さんを助けることにもなるので経済的にも健全です。
同時にお財布への打撃も大きいのでお茶菓子の予算が減ってしまいますが、上白糖はメンタルを害するという話も聞きますので、足りないくらいで丁度いいかもしれません。
コーヒーも薦められていますが、缶コーヒーやコーヒーフレッシュは良くないと思います。しかし特に触れられていませんので、やはり何か別の本で補う必要があると思います。
しかし3章を中心に妊娠中の暴露について触れており、大変勉強になります。特に器官形成期にあたる時期は、いわゆる基準値が全く参考にならないことは、なんとなく誰でもわかることですが、妊娠初期、脳の神経細胞が成長する時期の環境ホルモンの影響や生殖機能の形成される頃(7週目頃)に、ストレスで女性ホルモンが多かったり、環境ホルモンの影響を受けると子どもがLBGTになりやすかったり、思春期になってから生殖器の病気や異常がでやすいなど書かれています。
11~12章ではマイナスイオン、ホリスティック医学などの代替医療、スピルリナやお茶などの健康食品が紹介されていて、正直、、眉唾です。しかし苦しんでいる人にとってそれが役に立つなら何でも良いわけで、否定にも肯定にも注意深く、開かれた態度で書かれていて読む気をそがれません。
著者は経済学にも造詣が深く、終章はもっとも読み応えがありましたので、少し抜粋させていただきたいと思います。多くの人が、環境問題の重大さを解っていながらも、経済発展を優先せざるを得ない現状を上手に解き明かしていると思います。自然がなくなるほど、病人が増えるほど、社会が悪くなるほどGNPが上がるというシステムについてです。
市場は自然破壊もプラスに計算(P230)
(前項 川や海が汚れるとお金を払ってプールに行くしかない)
ところが、GNPを指標とする経済成長は、プールで使うお金も成長の証として計算されてしまう。病気になって支払う医療費も、成長の数字に加算される。マイナスにカウントすべきものは、本来ならGNPから差し引くのが当然なのに、経済学は依然として雇用の確保には経済成長が必要だと言ってモノの消費をあおる。私が経済学に幻滅を感じていったのは、深い思慮もなくモノの増加の計算を重視する手法のせいだった。
経済学の理論では、どうやって経済を成長させるか、どのように所得を分配するか、などを論議するが、結局は「(社会主義体制が敗れたいまとなっては)市場メカニズムに任せれば、資源は効率よく使われる」といった幼稚っぽい結論に落ち着く。しかし、効率よく運営されるという言葉の響きは良いが、市場の原理に合わない自然の価値、自然の光景はますます失われていく。海は汚れ、川は死んでいく。悲しいことに、自然が失われるほどそれに代わるモノが求められ、経済活動はふくらんでいく。海が汚くなれば、人びとは沖縄、ハワイ、グアムに行く。その旅行費用を海の保全、汚染防止に回すこともできるだろうが、市場社会にはそのメカニズムはない。
県民にはわかりきったことですが、沖縄の海もちょっとマズいですね、他県と比べたら綺麗な部分もあると思いますが、、、。もう誰かのせいにしている場合ではないレベルまで汚れてしまっています。
それは私たちの体の中とリンクしているかのようです。
是非「人体汚染のすべてがわかる本」を読んで、自然環境と健康について考えて頂けたらと思います。
★図書館を是非ご利用ください。タダで読めます!
お探しの本が最寄りの図書館になくても県内の他の図書館から書籍を取り寄せてもらえます。
本部町立図書館
カーリルローカルにて確認
北谷町・うるま市・糸満市・宜野座村・与那原町・豊見城市・沖縄市・読谷村・名護市・金武町・浦添市・石垣市・那覇市・西原町・宜野湾市
参考
知ってびっくり 子どもの脳に有害な化学物質のお話 水野玲子
食べ物が劣化する日本 安田節子
出版:食べ物通信
https://www.tabemonotuushin.co.jp/publics/index/90/
PDF「飲む農薬」とも称される日本茶の残留農薬基準値は一般の農作物と比べて数100倍。知られざるお茶の実態
http://imprestion.com/wp-content/uploads/2020/04/24ae07d4c834e10236508eafcc84cda8.pdf
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人体汚染のすべてがわかる本
小島正美
目次
序章 得体の知れない不安感
第1章 室内は化学物質の巣か
第2章 身の回りのプラスチック容器汚染
第3章 子供の脳が危ない
第4章 身近な農薬の危険性
第5章 遺伝子組み換え食品は安全か
第6章 化粧品による皮膚障害
第7章 妊娠中のホルモン剤
第8章 アルミニウムと飲み水の安全性
第9章 微量の化学物質による人体汚染
第10章 買ってはいけない論争とザクロ論争
第11章 注目される代替医療
第12章 健康になる食生活の提案
終章 健全な経済のあり方を考える