2021年12月11日締切 ピレスロイド系最大20倍緩和 残留基準値のパブコメのお知らせです

2021年12月11日締切 ピレスロイド系最大20倍緩和 残留基準値のパブコメのお知らせです

厚生労働省 パブリックコメント
「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(案)」(農薬等(アルベンダゾール等9品目)の残留基準の改正等)に関する御意見の募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495210281&Mode=0
緩和案の詳細
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000226831
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パブコメの提出方法は記事末にあります。

猫に対してピレスロイド系殺虫剤フェノトリンやペルメトリンの入ったシャンプーやノミ取り剤が有害である事をご存じの方も多いと思います。
今回の緩和案が出ている農薬シペルメトリンもピレスロイド系で猫には高い毒性があるので、人の食べ物の好きな猫は注意しましょう。もちろん人へも危険性があります。今回は牛・豚肉の筋肉部分の残留基準値が20倍も緩和されます。

今回の改正案も緩和が多く、発がん性や催奇形性、環境ホルモン作用のある農薬の残留基準値も緩和されます。規制だけの農薬は9品目中ゼラノールだけです。
政府としてはリスク評価を基本としているので、「少量だから問題ない」ということでの緩和だと思いますが、慢性毒性や、人体内で混ざった時の複合毒性はわかっていない場合が多く、今回緩和される中にはEUでは禁止になっているものもあります。
私たちは、普通に生活しているだけで様々な化学物質に晒されており、住宅環境によっては自分が食べなくても殺虫剤、除草剤などの危険な化学物質を日常的に摂取してしまっています。
そこに更に食品に含まれる薬剤も緩和されていけば、体質の合わない人や弱った人から順に病気のリスクが高まってしまうことになります。
急性毒性に関しては原因を特定しやすく、開発の段階で取捨選択されていると思いますので、この緩和で人がバタバタ倒れることはないので安全です。正確にいうと「原因が特定できないかぎり責任を取る必要がないのでメーカーや使用者、政府にとっては安全ということです。
これが慢性毒性の恐ろしいところです。
現代社会では慢性毒性の疑いのある化学物質が多すぎて、何かあっても原因の特定は不可能だと思います、因果関係が立証されたとしてもそれまでに大勢の被害者が出て大問題になった後です。
被害を避けたければ、気を付けるより他にないのですが、困ったことに自分の体質が農薬に対して抵抗力が強いのか?弱いのか?知っている人などほぼいないと思います。シペルメトリンの誤食事故では家族が軽症のなか、一人だけが死亡した例があるので、体質といえども遺伝的な要素が関係しないケースもあるようです。

緩和される9品目の農薬をWikipediaなどで調べてみましたので、パブコメ提出の参考にして頂けたらと思います。もちろん感情的に「これ以上農薬は使ってほしくない」という意見でも良いと思います、感情は豊かな人生を送るためのとても重要な要素です。年間に何度も規制緩和案が出されては基準値が甘くなっているので、正直何でもいいから出してください、、という気持ちです。
※今回は参考URLが多いので化学物質ごとに付けました。新規の規制値は0.01からの比較になりますので倍率が極端に大きくなっています。

アルベンダゾール 寄生虫駆除剤
緩和案
魚介類(すずき目魚類に限る。)(新規) 0.01 → 0.03 3倍

日本ではエキノコックス症の治療薬としての医薬品です。副作用や催奇形性があり、妊娠前1か月~妊娠中は摂取してはいけません。体質によっては過敏症を引き起こす可能性もあるようです。アルベンダゾールに弱い人は注意です、って誰がそんなこと知っているのでしょうか、簡単ですアルベンダゾールで酷い目にあってから判断してね、、ということです、酷い話です。
食事と一緒に取ると効果が4.5倍上がるようです、エスカゾール(アルベンダゾール200mg)という薬(劇薬、処方せん医薬品)の服用方法にも「食事と共に服用する」とありました。微量だとしてもそんなものが普段の食事に混ざって良いとは思えません。
ちなみにスズキ目は、アジ、サバ、ブリ、マグロ、カツオ、マダイ、タマン、ミーバイやイラブチャーなどの身近な魚たちです。

主な注意事項
副作用……肝機能障害,黄疸,貧血,めまい,吐き気,嘔吐,脱毛,皮疹,発熱など。
重大な副作用(発症頻度は低い)……再生不良性貧血。
アルベンダゾールの注意・禁忌……『注意を要する人』は、母胎内の胎児に悪影響を及ぼす恐れがあります。服薬中と服薬後の約1ヶ月は妊娠を避けるようにして下さい。
『処方してはいけない禁忌』は、本剤で過敏症を起こしたことがある人,妊婦。


参考
Wikipedia アルベンダゾール
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%AB

アルベンダゾールの効能・作用・副作用
https://esdiscovery.jp/candy/medica/extermination001.html

エスカゾール錠の説明書
https://vet.cygni.co.jp/include_html/drug_pdf/sonota/JY-13265.pdf

日経メディカル 処方薬事典 エスカゾール錠
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/prd/64/6429007F1033.html


キャプタン 殺菌剤
おもな緩和案
オクラ 0.01 → 0.05 5倍
日本なし・洋なし 10 → 15 1.5倍
くるみ(新規) 0.01 → 0.5 50倍 

種の消毒や燻煙して作物をカビから守るために使われるようです。毒性としては、発癌のおそれがある、加熱により有毒ガスを生じる、魚毒性はやや強い、とありました。
愛知県衛生研究所 残留農薬とナシの皮むき
キャプタンは、今回問題となっているダイホルタン(カプタホール)同様フタルイミド系殺菌剤で図に示すように構造もよく似ています。そのキャプタンは、皮むきによって98%以上が除去されることから、食べる部分にはほとんど残留していないことが判明しています。したがって、今回問題となったダイホルタンも同様な挙動を示すものと考えられることから、たとえダイホルタンがナシの中に残留していても皮をむくことによりほとんど除去でき、健康には影響ないものと思われます。

という記事を見つけました。ナシの皮は厚めにむいて、よく洗った方が良さそうです。
愛知県衛生研究所としては、「健康には影響ないと思っている」ようで、実際に影響があるのかはまだ分からないようです。

参考
Wikipedia キャプタン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%97%E3%82%BF%E3%83%B3

愛知県衛生研究所 残留農薬とナシの皮むき
https://www.pref.aichi.jp/eiseiken/3f/difolatan.html

オーソサイド (キャプタン80%)
http://www.greenjapan.co.jp/ososaido_s80.htm


シアゾファミド 殺菌剤
おもな緩和案
クレソン 10 → 15 1.5倍
ネギ 2 → 6 3倍
ニラ(新規) 0.01→6 600倍

情報がほとんどありませんでした。
殺菌剤なので飲み込まないに越したことはないと思います。
製品ランマンフロアブルの説明を見ると
「マルハナバチ、ミツバチなどの花粉媒介昆虫やオンシツツヤコバチ、チリカブリダニなどの天敵類にも影響はほとんどなく」とありますが、「蚕に対して影響があるので、周辺の桑葉にかからないようにしてください。」と書いてあります。「影響はほとんどない」の「ほとんど」はどれくらいかは不明です。

参考
ランマンフロアブル(シアゾファミド10%)
http://www.greenjapan.co.jp/ranman_f.htm


シペルメトリン(劇物) ピレスロイド系合成殺虫剤
おもな緩和案
大麦、小麦 0.2 → 2 10倍
ホウレンソウ 2 → 5 2.5倍
牛肉・豚肉(筋肉) 0.1 → 2 20倍
(牛・豚のレバー 0.5 は変更ありませんでした。今回の緩和でシペルメトリンは筋肉がレバーより4倍高くなります。)
パパイヤ 0.01 → 0.5 50倍

今回の農薬9品目のうち唯一の劇物です。(エスカゾール(アルベンダゾール錠)は医薬品で劇薬)冒頭で触れましたように誤食事故で死亡者も出ています。
ピレスロイド系殺虫剤はネコには高い毒性を示すようで、猫を飼われている方はノミ取りシャンプーや蚊取り線香などの成分もチェックしましょう。
また、農薬アグロスリン乳剤(シペルメトリン6%)の注意事項を見ると強い魚毒性やミツバチにも悪影響あるそうです、殺虫剤なので当然ですが、、、。

Wikipediaで調べてみると
特徴
昆虫にとって即効性の神経毒として作用する。土壌や植物上では容易に分解される。
皮膚接触や経口摂取によって中程度の毒性を持ち、皮膚や目に対する刺激性がある。皮膚曝露の症状には、しびれ、チクチク感、かゆみ、火傷感、膀胱の制御不能、失調、発作、また死亡の可能性がある。ピレスロイドは中枢神経系に悪影響を及ぼす可能性がある。

ネコへの毒性
ネコには非常に毒性が高く、イヌに処方される量には耐えられない。これは、ネコはシペルメトリンを代謝するグルクロニダーゼを持たず、体内に長く留まるためである。

誤食事故
10%濃度のシペルメトリンを含む油を誤って調理油として使用し、食事後に死亡した。食事の直後に、吐き気、長い嘔吐、胃痛及び下痢が襲い、その後痙攣、意識喪失から昏睡へと進行した。他の家族は症状が軽く、病院での治療を経て生き延びた。


余談ですが
ピレスロイド系の毒は有機リン酸塩によって代謝を阻害する2021/11/23訂正されるそうです、つまり分解しにくくなるので毒性が高まります。ということは、グリホサート系除草剤とピレスロイド系殺虫剤の組み合わせはとても危険です。
(グリホサート系除草剤はアミノ酸系と言われますが、化学式を見るとリン(P)と酸素(O)が結合しているので有機リン系農薬の特徴も持っています。)


参考
Wikipedia シペルメトリン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%B3

アグロスリン乳剤(シペルメトリン6%)
http://www.greenjapan.co.jp/agrosrin_n.htm

犬・猫専門獣医師そらん 猫に殺虫剤、駆虫剤は危険!ピレスリン・ピレスロイド中毒の怖さとは?!獣医師が解説!
https://coconala.com/blogs/2130010/67629/

合成ピレスロイド系殺虫剤一覧
https://www.weblio.jp/wkpja/content/%E6%AE%BA%E8%99%AB%E5%89%A4%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7_%E5%90%88%E6%88%90%E3%83%94%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E7%B3%BB


ゼラノール ホルモン剤(成長促進剤)
緩和案はありませんでした。
牛の腎臓 0.02 → 0.01 2倍規制


ピリオフェノン 殺菌剤
おもな緩和案
ナス科トマト、ピーマン、ナス以外(新規)0.01 → 5 500倍
キウイ果皮含む(新規)0.01 → 2 200倍

Wikipediaには出ていませんでした。2013年登録でうどんこ病防除に使われるそうです。
メーカーによると
「有用生物や天敵(ミツバチ,カブリダニ,寄生蜂,タイリクヒメハナカメムシで確認)に対する高い安全性を示す」とのことで、今のところ安全性が高いように見えますが、益虫でも害虫でもない他の生物に対して、どれだけ影響があるのかは不明な点がありそうです。少なくとも殺菌剤なので腸内細菌に良いものではないと思います。

参考
プロパティフロアブル(30%)
http://www.greenjapan.co.jp/property_f.htm


フルオキサストロビン 殺菌剤
おもな緩和案
大麦(新規)0.01 → 0.4 40倍
小麦(新規)0.01 → 0.2 20倍
大豆(新規)0.01 → 0.05 5倍
リンゴ(新規)0.01 → 1 100倍
日本なし(新規)0.01 → 0.6 60倍
洋ナシ(新規)0.01 → 0.6 60倍
ぶどう(新規)0.01 → 2 200倍

芝のために登録された殺菌剤で、適用が少なかったのでしょうか、、GoTo緩和です。
菌の呼吸を阻害するようですが、これといった情報が集められませんでした。2016年から農薬登録された化学物質でまだ5年しか経っていないせいでしょうか、人や他の生物に対する危険性を示す報告が集まるよりも早く緩和の波が押し寄せているようです。
蚕に影響が認められているので、カイコガ科もしくはそれに近い種類の昆虫にも悪影響があるのかもしれません。

参考
環境省 フルオキサストロビン Ⅰ.評価対象農薬の概要
https://www.env.go.jp/water/sui-kaitei/kijun/rv/308fluoxastrobin.pdf

アリスタ ライフサイエンス ディスアームフロアブル(フルオキサストロビン40.3%)
https://www.arystalifescience.jp/catalog/disarm.php


プロシミドン 殺菌剤
おもな緩和案
ピーマン 5 → 10 2倍
レモン、オレンジ、ライム(新規)0.01 → 5 500倍

今回緩和案にはありませんでしたが、人気者のイチゴやモモは既に5です。もしかして経済効果が高いものから順に緩和している?とか疑ってみます。
強い環境ホルモン作用があり、2012年EUで禁止されました。環境ホルモンは摂取量に関係なく影響が出るとも報告があり注意が必要です。

製剤スミレックスの注意書きには「有機リン剤との混用はさける」とありましたがどれくらい毒性が上がるのかはよく判りません。輸入小麦を使ったイチゴショートやオレンジピールのパウンドケーキなどは、グリホサートとプリシミドンを一緒に食べることになってしまうので、体内で現地混用が行われることになり、基準値の意味が無くなってしまうかもしれません。
でも環境ホルモンの影響は遅く、その頃には原因など判らないので、政府が安全というのもわかります。立証できなければ訴えようがありませんので、自己責任で気を付ける以外ありません。
環境ホルモンによる影響は、主に生まれた子供の生殖器の異常や発達障害として出ますので、妊娠中の方は注意しましょう。

参考
環境脳神経科学情報センター 毒性のために失効となった殺菌剤
http://environmental-neuroscience.info/pesticides/fungicides/entry41.html

マイニュースジャパン 妊娠中は国内イチゴの食べ過ぎに注意!
https://www.mynewsjapan.com/reports/2012

環境省 環境ホルモンによる子どものIQ低下は国家的損失
http://www.env.go.jp/chemi/end/endocrine/5column/c-27.html

スミレックス (プリシミドン50%)
http://www.greenjapan.co.jp/smilex_s.htm


マンデストロビン 殺菌剤
おもな緩和案
カリフラワー、ブロッコリー(新規)0.01 → 7 700倍
しゅんぎく 50 → 90 1.8倍
ピーマン(新規)0.01 → 6 600倍
いちご 3 → 6 2倍

情報がほとんどありませんでした。登録は2013年で、主にナシやモモに使われるそうです。しゅんぎくの90は今回の9品目中最高値です。しゅんぎくファンの方は食べすぎないようにしたほうが良いかもしれません。
その前にパブコメご協力お願いいたします。

参考
スクレアフロアブル(マンデストロビン40%)
http://www.greenjapan.co.jp/skurea_f.htm



こうして農薬の残留基準値は、主に緩和という方向で年に何度も見直されていますが、当然主成分だけの話です。それ以外の界面活性剤などはまったく考慮されていません。
何度も申し訳ありませんが、農薬には臨床試験がない毒性評価は主剤のみ企業秘密の薬剤が入っている複合毒性については考慮されていないなど、基準値の規制だけで安全性を確保するのは難しいと思います。
今回の農薬でも主剤50%以下がほとんどで他に何が入っているのかよく判らないものばかりです。パブコメなど恐ろしく地味な活動ですが、規制緩和も地味に行われるので仕方ありません。期限は12月11日まであるので、ご協力いただけたら幸いです。


<パブリックコメントの提出の仕方>
厚生労働省 パブリックコメント
「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(案)」(農薬等(アルベンダゾール等9品目)の残留基準の改正等)に関する御意見の募集について
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495210281&Mode=0

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最後になりましたが
今回の画像は、ピレスロイド系殺虫剤はネコに対して高い毒性を示すということで、近所で撮った猫です。猫のシルエットは不思議な静けさがあり、心が休まります。



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