病原菌の増殖アスペルギルス属 グリホサートによる土壌の汚染2

病原菌の増殖アスペルギルス属 グリホサートによる土壌の汚染2


【加筆のお知らせ】
前回記事「シークヮーサーの立ち枯れ
過去記事「土に何日残るの? グリホサートによる土壌の汚染1」
内容は同じです。詳しくは一番下に書きました。


過去記事「土に何日残るの? グリホサートによる土壌の汚染1」では散布されたグリホサートの残留について書きました。
そしてグリホサートを散布した土壌で、アスペルギルスやフザリウムという真菌類(カビ)が増殖したという報告があるので、今回はアスペルギルス属について書かせていただきます。

カビはお酒、味噌、チーズ等の食品から抗生剤まで様々なものに利用されています、逆に有害なカビがいることも、誰もが知っていることです。

カビの害には2種類あります。
1つは、カビそのものが原因の場合、植物がカビで枯れたり、人間なら肺炎や水虫が有名です。
もう1つは、カビが出す毒素(マイコトキシン)の場合、急性中毒や発がん性など、かなり危険性の高い毒もあります。
身近なところでは、昔はパンがカビたらそこだけ取り除いて焼いて食べていましたが、今は食べないように言われます。マイコトキシンは熱に強いので料理程度の温度では分解されません。

その真菌類は何万種類もありますが、現在分類されている種類の多くは無害なものです。
しかし、困ったことにグリホサートが散布された土壌では、アスペルギルス属やフザリウム属の仲間のうち有害な種類が増殖するという報告があります。

過去記事 土に何日残るの? グリホサートによる土壌の汚染1 で紹介した、科学警察研究所の実験では6か月で1%程度の分解物というデータがありましたので、カビがグリホサートを食べて増殖したというより、他の微生物がグリホサートで死滅した結果、土壌菌のバランスが崩れ有害なカビが増殖したのかもしれません、ラットの実験でも腸内細菌叢の異常が出ているので、不思議ではありません。

ここからアスペルギルス属というカビの仲間を少し紹介します。見慣れぬカタカナが出てきますが、参考pdfなどを読まれる方以外はいちいち気になさる必要はありません。せっかく調べたので書いてみたかっただけです。

アスペルギルス属
仲間は100種類以上、土中空中にも当たり前にいるそうです
有名なものは
アスペルギルス・オリザエ A.oryzae(イネの意)いわゆる麹菌、ニホンコウジカビ
アスペルギルス・アワモリ A.awamori(泡盛の意)泡盛をつくるときの黒麹
などヒトにとって有用な仲間です。

しかし2013年 アルゼンチン国立リオクアルト大学の微生物学と免疫学の研究チームによる報告によると、グリホサートで増殖するのは

アスペルギルス・フラバス A.flavus(黄色の意)
アスペルギルス・パラシティカス A.parasiticus(寄生の意)

だそうです。(研究チームはさらに入念な調査が必要と慎重な態度をとっています。)

どちらも、アフラトキシンB1という自然物最強の発がん性を誇るマイコトキシンを生成するカビで、急性毒性もあります。
1960年イギリスで七面鳥が10万羽以上死んだ原因が、このアスペルギルス・フラバスの毒(トキシン)で、略してアフラトキシンだそうです。
ヒトへの被害は主に肝臓にでるらしく、インド(106人)やケニヤ(125人)で急性肝炎の死亡例があります。

日本でも基準値が設けられており、主に輸入されたナッツやトウモロコシ、香辛料から検出されます。2014年アフラトキシンの基準値違反は140事例あり、チョコレート菓子のスニッカーズからも基準値越えが出ています。ララバーピーナッツバタークッキーというのも基準値越えが出ていますが、県内で売っているのでしょうか。

アスペルギルス・フラバスもパラシティカスも暖かい地域が好きな菌なので、沖縄県内の駐車場、道路、墓地、果樹園などグリホサートが繰り返し散布された場所では、本土の官公庁のデータが参考にならないほど増殖している可能性があるのではないでしょうか。
沖縄県の郷土料理ジーマーミー豆腐をピーナッツと知らずにアレルギーをお持ちの方が食べてしまい死亡するという事故がありますが、もしアフラトキシンが付着してしまっていたら、アレルギーどころではなく大変な食中毒事件になってしまうかもしれません。

というわけで、グリホサートが何年もかけて分解される間に、土壌菌のバランス崩壊で熱帯性の危険な微生物が増殖してしまうのなら、亜熱帯に属する沖縄県では独自の規制が必要なのではないかと思います。

色々調べた甲斐あってアスペルギルス属は身近なカビでありながら、とても危険なカビでもあることがわかりました。

「微生物により自然物に分解」というのは、半減期やキレートなどの問題も含めてギリギリの宣伝文句です。
モンサント社は多くのユーザーや株主に信頼されている巨大企業なので、豊富な資金で研究し徹底したデータをとっているはずですから、どんな真菌類が増殖するかくらい本当は解っているのではないでしょうか?
「環境にやさしい」「塩より安全」と沖縄県も道路管理にラウンドアップの使用を推進しているくらいですから、とても商売が上手だと思います。

そして、やっと土壌汚染についてですが

日産化学ラウンドアップHP「散布後も土を悪くする心配はいりません。」
大成農材サンフーロンのHP「土に落ちると除草効果を失うので、土壌汚染なく、使用後に種まき・苗の植付けが可能です」

と書かれています。「効果がなくなる=汚染ではない」というのは問題だと思うのですが、土壌汚染対策法を調べると特定有害物質によるものを土壌汚染というらしく、マイコトキシンやグリホサートは全く関係がないようです。
しかしこの特定有害物質に指定されている農薬成分にメタミドホスというのがあります。このLD50(Lethal Dose 50% 急性症状の半数致死量)を比べてみますと

メタミドホス    LD50 16 - 21 mg/kg
アフラトキシンB1 LD50 0.3-17.9 mg/kg

アフラトキシンB1の圧勝です。

アスペルギルス・フラバスが土壌でジャンジャン毒を出しているというわけではないと思いますし、農薬と土壌菌の毒素を比べるのは強引かと思いますが、もし報告通りアスペルギルス・フラバスやパラシティカスの増殖が確定したら、人為的な影響により病原菌が増殖した状態を、土壌汚染といっても良いのではないでしょうか。

今回の画像、、
撮影のためにスニッカーズを買ってみました。
2014年に基準値越えのアフラトキシンが検出されたのは恐らくピーナッツが原因だと思いますが、製品内の食材の一部であり大量に生産されている製品なので、毎日大量に食べていなければ問題ない確率だと思います。

「ピーナッツ」と言いますが、ナッツ(木の実)ではなく落花生の種子いわゆる「豆」です。マメ科つながりで伐採したギンネムを敷いてみましたが、、、キラキラの包装が冴えませんね。ちなみにニッカーズというと英国では下着を指すそうで、、、、そんな画像を載せるよりは、ギンネムで冴えないくらいで丁度良かったのかもしれません。

次回はフザリウムを書きたいのですが、調べてみるといろいろあり、申し訳ございませんが更に時間が必要になりそうです。


参考
アフラトキシンについて
東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kabi/kabi2-1.html

バイオジャーナル
http://www5d.biglobe.ne.jp/~cbic/journal/no147/news2.html

国立医薬品食品衛生研究所
輸入食品違反事例一覧
http://www.nihs.go.jp/hse/food-kkportal/ihanjirei/2014ihan.pdf


<過去記事2つに加筆しました。>
グリホサートの残留について、科学警察研究所の実験のように、地面に直接に散布した場合は表土に蓄積しますが、植物に散布されたグリホサートは植物を通して土中に蓄積するであろうことを書き足しました。

前回記事「シークヮーサーの立ち枯れ」
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11700594.html
2020/10/10加筆
この過去記事にある実験は、植物のない植木鉢に散布した科学警察研究所のものですが、グリホサート系除草剤の特性は成分が葉から吸収され根まで届いて枯れるので、現実には実験よりもはるかに早く地中に到達する可能性が高いと思いました。
特に、クワやギンネム、ナガバハリフタバムグラなど根の深い植物の場合は、シークヮーサーの根まで容易に成分が到達する可能性は高いと思います。雑草の大きく育った果樹園に除草剤を使うと地中深く成分が蓄積し、大きくなる前に頻繁に散布している果樹園ほど地表に蓄積していると予想しています。


過去記事「土に何日残るの? グリホサートによる土壌の汚染1」
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11689643.html
2020/10/16加筆
実験は、植物のない植木鉢に散布した科学警察研究所のものですが、グリホサート系除草剤の特性は成分が葉から吸収され根まで届いて枯れるので、現実には実験よりもはるかに早く地中に到達する可能性が高いと思いました。
特に、クワやギンネム、ナガバハリフタバムグラなど根の深い植物の場合は、土中まで容易に成分が到達する可能性は高いと思います。雑草の大きく育った場所に除草剤を使うと地中深く成分が蓄積し、大きくなる前に頻繁に散布している場所ほど地表に蓄積していると予想しています。



同じカテゴリー(除草剤)の記事
2023年まとめ(2)
2023年まとめ(2)(2024-03-19 11:13)

2023年まとめ(1)
2023年まとめ(1)(2024-03-14 16:30)

今年の出来事 2021
今年の出来事 2021(2021-12-24 13:01)

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。