2022/9/5
植物体内での分解について
一部訂正しました

瀬底島に除草剤散布の看板がありました。
違反、またはその可能性があると思われる事項をあげてみます。
1・周知看板の数が足りないのでは?
2・立入禁止措置の準備はできていますか?
3・風が吹いていたり、雨の予報のある日に散布してしまうのでは?
4・散布後の枯れ草の撤去の予定はありますか?
除草剤を散布してほしくない方は是非北部土木事務所に違反の指摘をして中止を求める電話をかけて頂けたなら幸いです。
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北部土木事務所・維持管理班: 0980-53-1787
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久しぶりの除草剤看板なので、それぞれ細かく書いたら長くなってしまいました、申し訳ございません。引用部分(青文字)は太字だけチェックしていただくと少し読みやすくなるかと思いますので、最後までお付き合いください。
では、どのような違反になるのか早速見てまいりましょう。
1・周知看板の数が足りないのでは?
看板は合計で3つ。瀬底大橋から見て、右側に2つ、左側に1つ確認しました。
右側:この画像の通り詳細まで書かれている上等看板 + 不足看板の組み合わせですが、おそらく散布エリアの起終点と思われる場所に設置されていました。距離も短いのでまぁセーフでしょうか、、。
左側:172号線は距離も短く、右側に上等看板があるので情報不足は目をつぶったとしても、トップの画像の不足看板たった1つなので、どこからどこまで撒くのか分かりません、違反です。
また、瀬底小学校に通う子供の通学路の可能性もあり、散布時間が下校時間に当たるかもしれません。教職員の方、瀬底小に通われているお子様をお持ちの方、周知は来ましたか?学校からも保護者に通知が必要です。
1の違反の根拠
農林水産省・環境省:住宅地等における農薬使用について(住宅地通知)
別紙:住宅地等における病害虫防除等に当たって遵守すべき事項
1(7)農薬の散布に当たっては、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって幅広く周知すること。その際、過去の相談等により、近辺に化学物質に敏感な人が居住していることを把握している場合には、十分配慮すること。また、農薬散布区域の近隣に学校、通学路等がある場合には、万が一にも子どもが農薬を浴びることのないよう散布の時間帯に最大限配慮するとともに、当該学校や子どもの保護者等への周知を図ること。さらに、立て看板の表示、立入制限範囲の設定等により、散布時や散布直後に、農薬使用者以外の者が散布区域内に立ち入らないよう措置すること。
沖縄県:除草剤安全使用マニュアル
P13 5 適正な使用について
(1)法令遵守
農薬のー種である除草剤等の使用においては、農薬取締法および
「住宅地等における農薬使用について(平成25年4月26 日付け農林水産省、環境省通知)」
、「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」(環境省平成26年改訂)、その他農薬関連法規を遵守し、適正な使用に努めなければなりません。また、当該業務における特記仕様書記載事項を遵守し適正な使用に努めなければなりません。
P15 4)周知看板等の設置イメージ
①立て看板設置設置方法
アルミなど比較的しっかりした素材、構造 素材など
工区起終点に1箇所ずつ
2・立入禁止措置の準備はできていますか?
過去に「散布しました立ち入らないで下さい」といったような看板やチラシが数十メートルおきに設置されているのは見たことがありますが、立入禁止措置とは言えないと思います。

この画像は過去に載せたものですが、立入禁止の中でも最悪レベルです。これを立入禁止措置と思う人はいないと思います。
「除草剤をかけています草地には入らないで下さい」と書いてあるのですが、とても読める状態になく、むしろ何が書いてあるのか興味を持って入ってしまう子も出てきてしまいそうです。
これでは困るので、子供でも分かるようにトラロープを張るなどの措置が必要ですが、いままで見たことがありません。
立入禁止措置の準備ができていないようなら今回の散布は中止してもらいましょう。
もし明確な立入禁止措置を怠った場合、子供が入ってしまうだけでなく、自動車のドライバーは「なぜ歩行者が歩道から離れて歩いているんだ?」と理由がわからず大変危険です。このご時世ですから路上トラブルにもなりかねません。
ラウンドアップの安全使用上の注意にも、小児、人畜等とわざわざ「小児」と書いてあります。
利益を追求し株価を上げ、配当を株主に還元しなければならないメーカーとしては書きたくもないはずですが、いちいち表示しなければならないほど農薬は危険なものなので、文字でなく物理的に明確な措置でないと困ります。
2の違反の根拠
農林水産省・環境省:住宅地等における農薬使用について(住宅地通知)
別紙:住宅地等における病害虫防除等に当たって遵守すべき事項
1(4)農薬取締法(昭和23年法律第82号)に基づいて登録された、当該植物に適用のある農薬を、ラベルに記載されている使用方法(使用回数、使用量、使用濃度等)及び使用上の注意事項を守って使用すること。
1(7)農薬の散布に当たっては、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって幅広く周知すること。その際、過去の相談等により、近辺に化学物質に敏感な人が居住していることを把握している場合には、十分配慮すること。
また、農薬散布区域の近隣に学校、通学路等がある場合には、万が一にも子どもが農薬を浴びることのないよう散布の時間帯に最大限配慮するとともに、当該学校や子どもの保護者等への周知を図ること。さらに、立て看板の表示、立入制限範囲の設定等により、散布時や散布直後(※ラウンドアップの場合散布当日)
に、農薬使用者以外の者が散布区域内に立ち入らないよう措置すること。
沖縄県:除草剤安全使用マニュアル
P14 5 適正な使用について
3)立入制限エリアと立入制限期間について
歩道部での処理を行う場合は、薬剤処理を行った植栽桝について、トラロープなどにより、立入制限エリアを設置してください。期間については、各薬剤のラベルに記載されている期間に従うこととします。
ラウンドアップ:安全使用上の注意
公園・堤とうなどで使用する場合、使用区域に縄囲いや立札を立て、使用中及び使用後(少なくとも使用当日)に関係者以外は立ち入らせない。小児、人畜等に留意する。
※公園・堤とうなど・・・
ラウンドアップの使用方法の適用場所リストには、「公園、堤塘、駐車場、道路、運動場、宅地、のり面、鉄道など」と記載されています。
3・風が吹いていたり、雨の予報のある日に散布してしまうのでは?
散布期間9月1日~9日とありますが、台風11号の影響が予想されます、そんな中散布したら違反確定です。当日の朝の予報で、大気が不安定だったり雨の可能性があるなら中止してもらいましょう。
風についても、一般に農薬散布は風速3m以下です。8月31日から風が強まる予報ですので、違反になる可能性があります。
気象庁は風の予報も出しています。風速6~9mの予報なら前日の段階で中止してもらいましょう。
https://www.jma.go.jp/bosai/wdist/timeseries.html#area_type=offices&area_code=471000
風速が3~5mの予報の場合はギリギリなので、当日の風速で判断してください、
風速3mでも海辺や傾斜地の場合風が吹き抜けることがあり、ドリフト(飛散)しやすくなります。散布作業中の現場付近で顔にハッキリ風を感じる、紙くずが舞うようなら風速5mを超えていますので、散布作業の風下には近づかないようにして、即中止を求めてください。
土日に散布が行われる可能性もあるので、その場合は金曜日のうちに連絡しましょう。過去にも雨の予報や風のある時に散布されたことがありますので気を付けて下さい。
沖縄県の年間の平均風速は3~4mなので、農薬散布には不向きな土地です。散布現場付近の方、172号線を利用される方は暴露に注意しましょう。特に妊娠中の方は絶対に暴露しないようにしてください。『人体汚染のすべてがわかる本』という書籍をこのブログで紹介していますので興味のある方は、是非お近くの図書館などを利用して手に取ってみてください。
3の違反の根拠
農林水産省・環境省:住宅地等における農薬使用について(住宅地通知)
別紙:住宅地等における病害虫防除等に当たって遵守すべき事項
(6)農薬散布は、無風又は風が弱いときに行うなど、近隣に影響が少ない天候の日や時間帯を選び、農薬の飛散を抑制するノズル(以下「飛散低減ノズル」という。)の使用に努めるとともに、風向き、ノズルの向き等に注意して行うこと。
沖縄県:農林水産部
~「ポジティブリスト制度」の導入~
飛散(ドリフト)の最大の要因は風であるので、風のない時や風の弱い時(風速3m/秒以下を目安)に注意して散布する。散布中でも風が強まった場合は、ただちに農薬散布をやめる。
沖縄県:除草剤安全使用マニュアル
P16本編5
2)噴霧による処理を実施する場合
①気象条件
・無風もしくは微風であること。
・処理中および処理当日中に降雨がないと予想されること。
4・散布後の枯れ草の撤去の予定はありますか?
上等看板にも書かれていますが、目的は沿道景観向上です。沖縄県の管理する国・県道での除草剤散布は、沖縄県が策定した「沖縄県沿道景観向上技術ガイドライン」に則って行われているものです。
このガイドラインで除草剤のメリットと遵守事項について書かれた別冊が「除草剤安全使用マニュアル」ですので、除草作業で景観が悪くなってしまっては全く意味がありません。
枯れた草花で景観を損ねることがないよう必ず撤去しなければなりません。しかし、過去に枯死した植物の撤去がされたことはありません。連絡しても撤去作業は行われませんでしたので、事前に撤去の具体的な予定がなければ、初めから撤去するつもりはないと判断してください、中止してもらいましょう。
枯れ草の撤去がされないということは、、、

この画像は以前撮影した県道123号線の散布箇所ですが、除草剤で枯れた植物とポイ捨てゴミです。枯れ草の撤去をしないということは、除草剤のかかったゴミもそのまま放置されるということです、いったい誰が拾うのでしょうか、、。
これが除草剤による沿道景観の向上の現実です。沖縄県土木建築部の皆様、各土木事務所の皆様はよく覚えておいてください。
そしてこのような残念景観を維持したくない皆様は是非、「枯れ草の撤去ができないなら違反になる、除草剤散布は遠慮してもらわないと困る」と中止を求めてください。
枯れた植物は気味が悪い、見た目が良くないといった、主観的なものだとしても、人が幸福を追求するうえで気分の良し悪しはとても重要なことです、自信をもって伝えてください。
また、ラウンドアップには
土への高い安全性~自然物へと分解
散布後も土を悪くする心配はいりません。
と書かれていますが、主剤のグリホサートだけでも生分解性は低く半年以上土壌に残留します。他に何が入っているのか分からないのでラウンドアップが全て分解されるまでの期間はかなり長期にわたることが容易に想像できますが、今も、恐らくこれからも謎のままです。
そして吸収された薬剤が
植物体内で分解されたというデータも、アスファルトに落ちた薬剤が分解されたというデータもありません、路肩に残った枯れ草が土に触れることなく海に流出する可能性は極めて高いです。
撤去作業をしなければ美観だけでなく安全性や自然環境も損なわれます。
訂正2022/9/5
申し訳ございません。久しぶりの除草剤記事ですっかり忘れていました、訂正させていただきます。
植物体内でグリホサートが分解されるというデータはどこかで見たような気がします。事実として、輸入小麦などからグリホサートが分解された時に生成される代謝物アミノメチルホスホン酸(AMPA)が検出されるので、「分解しない」というのはウソになってしまいます、、申し訳ございません。。
しかし、この代謝物アミノメチルホスホン酸にも細胞毒性やDNAへの影響が報告されています。こういったことも含めて国際がん研究機構(IARC)はグリホサートは「おそらく発がん性がある」(4段階中上から2番目)と評価しているようです。
そして、多くの食用作物からアミノメチルホスホン酸だけでなく、グリホサートも検出されます。
このことから、植物が代謝できるのは生きている間だけで、グリホサートを分解できる量は限定的なのでは?と思っています。
結論としてはグリホサートは植物体内で分解しないはウソですが、植物体内に毒性の報告のある代謝物とともに残留するのは本当です。
4の違反の根拠
沖縄県:除草剤安全使用マニュアル
P1 本マニュアルについて
この除草剤安全使用マニュアルは、世界水準の観光地に相応しい良好な沿道景観の形成に向けて定められた沖縄県沿道景観向上技術ガイドライン」(平成29年3月策定)の別冊として策定されました。
P18本編5
(7)処理後の美観維持について
除草剤を処理した雑草は、剤の種類によって、草姿を維持して黄色に立枯れする場合や、朽ち果てるように枯死する場合などが想定されます。いずれの場合も、景観上の見栄えがよくないばかりでなく、それを目視した通行者や住民等が、不安やマイナスイメージを持つことから、抜き取りや刈払い等を行う必要があります。
違反に関しては以上となります。
ここからは、
上等看板の「安全性の高いもの」とあるのが気になったので、もう少しお付き合いください。
県の使用する除草剤はラウンドアップマックスロードというグリホサート系除草剤です。
このグリホサート系除草剤は安全性が高いというのは、主成分であるグリホサートが従来の除草剤と比べて急性毒性が低いという意味です。そこに添加される界面活性剤などの毒性は非常に高いそうですが、企業秘密となっているので、「危険性は秘密、なので安全」としているのが現状です。
現在は、比較的安全とされている主成分のグリホサートという化学物質だけでも、学術的に様々な毒性を示すの報告があり、少しずつ危険性が明らかになっていますが、それよりも恐ろしいのがアジュバント(補強剤)です。ワクチンで少し有名になりましたが、農薬も効果を高めるためにアジュバント(補強剤)を使うことは珍しくなく、その情報はもちろん企業秘密です。グリホサート単体とグリホサート系除草剤とで100倍毒性が違うという報告もあります。
企業秘密ということは、他の成分の毒性の検証はできるはずもなく、もしも除草剤で体調が悪くなったとしても、グリホサートの過剰摂取による中毒症状、高カリウム血症以外は証明しようがないので、泣き寝入りするしかありません。
農薬は化学物質の秘密のカクテルです。化学物質に敏感な方、小さいお子様をお連れの方、妊娠されている方は特に気を付けてください。グリホサートの毒性はネットや本などで簡単に情報を得ることができます。
過去記事でも「ブックレット グリホサート 身近な除草剤にひそむ危険」など紹介しています。
そして人体だけでなく、環境への影響もさまざまな報告があります。
残留性に関しては、ラウンドアップのパッケージには
3~21日で半減、微生物により自然物に分解と書かれていますが、グリホサートの土壌中の半減期間でさえ3~6か月かかります。。
ラウンドアップは野生生物・鳥類・昆虫類にも極めて安全性が高く、世界の環境保護区や、世界遺産の保全に、広く利用されています。
と宣伝されていますが、菌類~人体まで様々な影響が報告されており、有機農業ニュースクリップのグリホサート関連年表を見ていただけたら様々な報告をダイジェスト的に見ることができます。
以前は毒性の高いPOEAという界面活性剤が使われておりましたが、危険性が認められたため今は使っていないようです、しかし界面活性剤としか表示されなくなり危険性が上がったのか下がったのかさえ分かりません。
どちらにしても界面活性剤とは細胞を壊すものなので生物への影響は避けられず、ラウンドアップの環境に対する注意事項にもこうあります。
・河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
そもそも希釈して使うものなので水に溶けやすいうえ、水生生物にも強い毒性があるようなので、瀬底島の自然環境に影響があるかもしれません。
特にサンゴは薬品に弱く、人の肌につけて使う日焼け止めでさえ影響があると言われるています。ラウンドアップの注意書きをもう少し見てみましょう
使用時は農薬用マスク、手袋、長ズボン・長袖作業衣などを着用する。作業後は手足、顔などを石けんでよく洗い、うがいをして洗顔をする。
とあります。
こんな危険なものがアスファルト上や枯れ草ごと分解されないまま海に流れてしまいます。すでに本部町だけでなく世界中の海には雨のたびに陸地から様々な化学物質が流れ込んでいるのに、これ以上除草剤が海に流れたら瀬底島のサンゴは気づかぬうちに、そして確実にダメージを受けるでしょう。
瀬底島で生活されている皆様だけでなく、観光で瀬底島にいらした方、瀬底島で観光業に携わっている方も、なぜ農薬散布にゴチャゴチャと遵守事項があるのか、除草剤の危険性について考えていただけたらと思います。
是非、北部土木事務所に問い合わせていただき、農薬の危険性を重く受け止め、遵守事項を守り、安全に使用できないなら違反になることを伝え、散布を中止し、草刈り作業に変えてもらうよう求めましょう。
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北部土木事務所・維持管理班: 0980-53-1787
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参考
農林水産省・環境省:住宅地等における農薬使用について(住宅地通知)
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/jutakuti/20130426tuchi.html
沖縄県:農林水産部
~「ポジティブリスト制度」の導入~
https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/byogaichubojo/documents/what%20is%20a%20p-list.pdf
沖縄県:除草剤安全使用マニュアル
http://okizokyo.org/images/okizoukyou/20171213-1.pdf
ラウンドアップマニュアル
https://manualzz.com/doc/4992316/%E5%8F%96%E6%89%B1%E8%AA%AC%E6%98%8E%E6%9B%B8--pdf%E5%BD%A2%E5%BC%8F-
有機農業ニュースクリップ、グリホサート関連年表
http://organic-newsclip.info/nouyaku/glyphosate-table.html
過去記事
除草剤安全使用マニュアルについて その1 沖縄県の国道・県道の除草剤散布をやめてもらおう
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11811218.html
土に何日残るの? グリホサートによる土壌の汚染1
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11689643.html
人体汚染のすべてがわかる本
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11784798.html
ブックレット グリホサート 身近な除草剤にひそむ危険
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11766058.html