2023年まとめ(1)

2023年まとめ(1)


周知看板違反例(2020年夏 県道115号線)

何かと忙しく、なかなか更新できずに2023年は終わってしまったので、まとめとして書かせていただきます。
一応一続きではあるのですが、後半は主に個人的な雑感で除草剤というより健康と経済の話になってしまったので、(1)と(2)に分けました。

画像は2020年のものですが、2023年、私達の知っている限りで、本部町近辺の国県道の除草剤の違反散布については今までで最悪で、いよいよ県は自ら策定した除草剤安全使用マニュアルも無視した状況になりました。
今までは違反を指摘し、除草剤の散布をやめてもらうことができていましたが、この1,2年は事前の周知が足りないなど違反があっても散布が強行されます。
運転中に散布作業を見たという知人に聞いたところ、散布中も立ち入り制限はなく、「(飛散防止)カバー?そんなものなかった、、」と聞きました。
飛散(ドリフト)は農林水産省もかなり重視しており、特に公共の場では大問題です。もし飛散防止カバーなしで散布して被害が出てしまった場合は農薬取締法に抵触する可能性もあるようです。大変危険な行為なので見つけたらすぐに営農支援課や病害虫防除技術センターへ情報提供し、直ちに散布を中止してもらい指導を要請してください。

農林水産部営農支援課  098ー866ー2280
病害虫防除技術センター 098ー886ー3880
ちょっと似ているので、電話番号のお間違えの無いようお願いいたします。
各都道府県の窓口は記事末にリンクを貼っておきます。


車にドライブレコーダーを装着されている方は、そういった動画も違反を確認するツールになると思いました。また、私有地部分に散布されていることもあるので、土地所有者が枯らさないで欲しかったと思っていれば、そういった画像は器物損壊の証拠にもなると思います。

昨年2023年はボランティアの登録エリアにも散布されました。
散布前にボランティアの登録エリアだと伝えても、法律違反ではないとのことで散布をやめてもらえませんでした。
緑のボランティアに苦情を申し入れたところ「登録エリアを間違っていた」とのことで、こういったことは異動や引継ぎで連携が取れないこともあると説明されました。
そういった事例があるにもかかわらず、なぜ「ボランティアの登録エリアだ」と土木事務所に伝えても確認すらしてもらえないのか、何のために毎年わざわざ作業報告や申請書を提出しているのか理解に苦しみます。
「行政と県民の協働」と宣伝されるものの、県は違反散布も含めて年2,3回程度の除草作業、私たちボランティアは年4回も草刈りをしているのに、結局のところオマケ、、というのが現実のようです。
今まで緑のボランティアをこのブログでも紹介してきましたが、せっかくボランティアを始めた方にこういった目に遭ってほしくないので、これからはもっと慎重にしなければなりません。
こちらが何を言っても、土木事務所に登録ミスがあろうと、法律に抵触しないと言われればそれまでです。国から通知されている住宅地通知(住宅地等における農薬使用について)や、県自らが策定した除草剤安全使用マニュアルさえ守らないというのに、だいぶ乱暴な話です。
もしこのブログを見て緑のボランティアに登録された方がございましたら、謝罪させていただきます。現実認識が甘いまま安易に薦めてしまいました、申し訳ございません。

その他の県道も、この夏からとにかく散布の周知の違反は続いていました。慣例としても、除草剤安全使用マニュアルにも、周知は1週間前とされているのですが、現実には4,5日前という状態でした。立ち入り制限といっても、「散布しました、立ち入らないでください」という告知だけで、その看板を探せなければ今ここが散布箇所なのかもわからない状態です。私有地ならともかく公道は子供からお年寄りまで利用します、カラーコーンやロープなど利用者がみてすぐわかるようなものでなければ意味がありません。それにトップ画像もそうですが、散布期間が長すぎていつ散布されるのかわからない状態が常で、これでは周知の意味がありません。

散布の周知看板に「安全性の高いものを使用している」と書かれるのも問題だと思います。
これは農林水産省に言うべきことですが、農薬の毒性評価は、主成分(ラウンドアップの場合グリホサート48%)だけで実際に販売されている製品ラウンドアップでは毒性検査は必要ないこと、添加されている界面活性剤はグリホサートより毒性が高くても検査の対象にならないこと、主成分と添加剤が混ざると毒性が跳ね上がること、農薬には臨床試験はないこと等、意識的に調べない限り知る機会がないのに、そういったアナウンスもありません。
また、枯死した植物体内では薬剤は分解しませんし、立ち枯れた植物も気味が悪いので撤去を求めても、交通の妨げにならないということで、撤去してもらえませんでした。
除草剤散布の目的は美観維持なので「交通の妨げ」とは理由になりません。
だったら、立ち枯れた植物こそが美観なのだと納得できるよう説明すべきです。

そして、これは以前からあることですが、違反を営農支援課(沖縄県農林水産部)に指摘し、違反に対してどのような指導をしたのか?後日教えて欲しいと伝えても「土木事務所から説明がある」と連絡が来ただけで、それきり連絡が来ないことがあります、丸投げです。どういうつもりかはわからないですが、結果としては、住民に説明は必要ないという扱いのようです。
おそらく追求すれば、予算がないとか、公民館や地元住民からの要望が、、、など体の良い答えが返ってきそうな気もしますが、何にしても違反に対する指導や相談に答える仕組みは十分でないようです。
営農支援課(沖縄県農林水産部)は県により農薬に関する相談窓口と指定されていながら、住民からの問い合わせに満足に対応できないようでは、やはり沖縄県は道路管理のため安全に農薬を使う能力はなかったと言わざるを得ません。もっと言えば、県は管理もできないのに道路や植え込みを今も作り続けています。

個人的な見解ですが、この1、2年で散布違反を指摘しても散布を中止しなくなったのは、2022年頃から導入された性能規定方式のような気がします。
この方式は、従来までの「土木事務所が除草剤散布を落札させる方式」と違って、道路管理そのものを落札させて、「業者の裁量で除草剤散布や草刈りの判断をする方式」で新聞にも載りました。
2023年まとめ(1)
(琉球新報 2022・5・20)

本文はWebサイトがありました
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1519935.html

スミレ、カタバミ、タンポポ、シマニシキソウ、ハイニシキソウ、ルリハコベなど、せいぜい30センチ程度で交通の妨げにならない雑草もたくさんあるのに、なぜ県は雑草0にこだわるのか解りません、もしかして山野草の知識がまるで無く、ネコジャラシが育ったらススキに、タンポポが育ったらヒマワリに、、なるとか思っているのでしょうか、、、、。

それはさておき、この性能規定方式は、県が除草剤散布として落札させていないので、違反があろうがなかろうが関係ないというスタンスを取り易いのではないでしょうか。しかしどんな形であれ管理しているのは県です。つまり違反のあった業者に何らかの指導やら、次年度は落札させないなどのペナルティーを与える立場ですから、「大した違反ではない」とか「やむを得ず」とか違反を把握する姿勢もなく擁護する態度は問題だと思います。
この画像は、除草剤散布の数日後に撮った写真です。
84号線20230827

(県道84号線 2023・8・27)

歩道~車道まで竹が塞いでいます。台風が来たわけでもないので、倒れた竹は無視して散布したのでしょう。除草剤で地面を汚染させて美観維持、交通の妨げには対応しない。業者もダメダメですが、監査もせず丸投げしている土木事務所は税金垂れ流しです。責任はさらに重いと思います。

話を戻しますが、そもそも法律違反かどうか?はちょっと違うのではないかと思います。
私は専門家ではないのでよくはわかりませんが、罰則がない=法律ではないとは言えないと思います。
そして、もし罰則があったとしても、法的な制裁は個人ならば懲役も考えられます、しかし個人ではない場合は罰金になるからです。
行政の事業で違反により罰金を科せられたとしても、土木事務所の罰金を支払う予算の元は税金です。施工業者も、違反散布だとしても実費がかかりますが、道路管理の収入は税金ですし、結局、バレないように違反散布を増やしコスト削減して罰金を支払えば済むことになります。

よって、公的な農薬散布の違反に対して、法律に抵触するしないは無関係であり、農林水産省・環境省の策定した住宅地通知(住宅地等における農薬使用について)を遵守できないならば、除草剤散布をしてはならないのでは?と考えています。
もちろん農薬関連の法律は、ドローンや浸透性農薬など新商品の登場や、学術的に新たに指摘された危険性などに対し、全く追いついていない状態で、今後さらに規制を求めていかなければなりません。特に現在は昔と違い、農地以外のところで農業者以外の人が除草剤を散布することが増えてきているので、それに沿った法規制は絶対必要です。
それに公道や住宅地の場合、「農」とは関係がないし、「薬」と言っても治療するのではなく、生命を奪うことだけが目的の毒なので、「農薬」という呼称も適切とは思えません。
農薬という呼称のせいで、公道の除草剤散布の違反で相談してもその話が農林水産課に降りてオシマイとなってしまうことがありますが、道路の場合は建設課、水道課や教育委員会かもしれません。
指導や散布について何か要請する場合はどの部署なのか、行政の縦のラインを意識して伝えましょう。或いは「除草剤を散布する可能性のある全ての部署にお願いしたい」と伝えても良いかもしれません。

除草剤に限らず、野生生物や人々の健康を守るために、ひとたび使用したら回収不可能な化学薬品の生産や使用に関する別の法律が必要かもしれません。個人的には、今後増加すると思われる香害、忘れかけられている環境ホルモン、回収しきれないマイクロプラスチック、最近流行りのナノ粒子化粧品などとも併せて、化学物質の扱いについて規制を考える必要があると思っています。
しかし、現状では法整備どころか、住宅地通知(住宅地等における農薬使用について)の存在や農薬の毒性についての知識も一般には広がっておらず、県も自ら策定した除草剤安全使用マニュアルの遵守には全く無頓着な状態で、住民が指摘しない限り、自発的に改めようという姿勢は見られません。

残念ですが、個人的に違反の情報提供し、散布を中止してもらうことは限界に達したのかもしれません。もちろん効果は0ではありません。いろいろと連絡をすれば看板が増えたり、風の日の散布は減らすことはできます。せめて自分でできる範囲で草刈りして「草刈りしたのでここからここは撒かないで欲しい」と事前に連絡すれば、そこだけは散布を防ぐことは可能です。

これからは公的な方法をとっていくより仕方ありません。
県の農薬の相談窓口である営農支援課や病害虫防除技術センターに指導や散布中止の要請や相談を持ち込まなければなりません、その対応に問題があれば農林水産省や環境省に苦情や相談をするしかないと思います。

農林水産部営農支援課  098ー866ー2280
病害虫防除技術センター 098ー886ー3880
ちょっと似ているので、電話番号のお間違えの無いようお願いいたします。
各都道府県の窓口は記事末にリンクを貼っておきます。


それでも結局、法律を持ち出されてしまうと、所詮個人では限界があるので、何らかの団体として活動をし、他の団体と情報をシェアしたり、連携して行政に農薬の毒性や残留性、基準の甘さなど危険性を伝え、住宅地通知の遵守などを求めていく必要を感じています。

地元で自主的に草刈りされている方だけでなく、無農薬栽培や養蜂家、こども会、愛犬のお散歩仲間や地域猫仲間、環境や健康に対するリテラシーの高い方など除草剤に対して危機感をお持ちの方ががいるのであれば、集まって直接申し入れたり、地元住人の署名なども、法的効力はともかく、除草剤散布に懸念を抱いていることや住宅地通知遵守の徹底を求めることも効果はあると思います。そういった地域のつながりがいくつもあると、規模は小さくても力強いものになります。
その住宅地通知にもあいまいな表現が多く、解釈は散布者側にあるので、極端な話、周知看板を散布1分前に立てたとしても「やむを得ず」とか「十分な配慮をした」と言えば、撒いたもの勝ちです。
それでも住宅地通知は今まで活動されてきた方々の弛まぬ努力の賜物なので、今後私たちは住宅地通知の情報発信と農薬について様々な法整備を要求してゆかなければなりません。

法整備にむけて、できそうなことは
・住宅地通知のあいまいな表現の明確化と、近隣住民の立場での判断を優先することを求めていく。
・住宅地通知違反の情報提供をし指導を要請する。指導とはいえ法的処置なので地道に積み重ねる。

特に飛散に関する違反(飛散防止カバー、風の日、散布器具を高く構えるなど)は農薬取締法にも抵触しかねないので重要です。
法律的には所詮「努力」義務ですが被害が出た場合、努力義務違反として罰則の対象となる場合もあるようです。
そして、努力義務は将来的に義務化される可能性があります。
【例】
男女雇用機会均等法   1986年努力義務→1999年に義務化。
オートバイのヘルメット 1965年努力義務→1975~1986年段階的に義務化。

が有名です。
たかが努力義務、指導と侮らず、違反を見つけたら都道府県に指定された農薬相談センターに情報提供し、指導を要請しましょう。
違反が改善されず指導が重なれば行政処分、最終的に義務化され罰則がついた法律になる可能性もあります。
特に飛散対策の不足を見つけたら必ず連絡して、直ちに散布を中止することと指導の要請、もう除草剤散布はやめて欲しいと伝えましょう。その後指導が入ったかどうかを受け付けてくれた担当の方から直接教えて欲しいと言わないと丸投げ、或いは、最悪の場合、手違いでこの件は確認できませんでした、、、という場合もあるかもしれませんので、注意が必要です。

というわけで、
一般に緩和というのは簡単で、逆に一度与えた権益を規制によって取り上げるのは難しいものなので、中止に持ち込むことはなかなか難しい状況になってしまいました。しばらく人も時間も必要になりそうです。
しかし、違反を指摘し指導と散布中止の要請を積み重ねてゆくことが、法整備の必要性の根拠となるはずです。
きっかけは、浦添の公園やビッグモーターのようにそのうちまた除草剤がメディアを賑わすような残念な出来事が起きると思いますので、今は地道に住宅地通知を広め、違反を指摘し、同じように危惧している方々と連携していけたらと思います。
除草剤について調べ始めたばかりの方もいるかと思います、とりあえずは人体への影響や毒性、住宅地通知について調べてみていただけたらと思いますので、ここで参考になりそうなものをご紹介させていただきます。

参考

書籍

『グリホサート』日本消費者連盟ブックレット 過去記事でお勧めしました
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11766058.html

『タネと内臓』 築地書館 吉田太郎 過去記事でお勧めしました
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11612752.html

『本当は危ない国産食品』 新潮新書 奥野 修司
 ネオニコチノイドとグリホサートについてです。

『UNSTOPPABLE 愛する子どもの「健康」を取り戻し、アメリカの「食」を動かした母親たちの軌跡』 現代書館 ゼン・ハニーカット

Webサイト
各都道府県の農薬の相談窓口
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/jutakuti/attach/pdf/index-1.pdf

有機農業クリップ グリホサート関連年表
http://organic-newsclip.info/nouyaku/glyphosate-table.html

やすだせつこ.com 遺伝子組み換え食品コラム・目次
https://www.yasudasetsuko.com/gmo/column.htm

除草剤グリホサート/「ラウンドアップ」のヒトへの発がん性と多様な毒性 木村ー黒田純子
【上】https://environmental-neuroscience.info/free_paper/Kagaku_201910_Kimura-Kuroda-rev.pdf
【下】https://environmental-neuroscience.info/free_paper/Kagaku_201911_Kimura-Kuroda.pdf

住宅地通知(住宅地等における農薬使用について)農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tekisei/jutakuti/20130426tuchi.html

沖縄県 除草剤安全使用マニュアル
http://okizokyo.org/images/okizoukyou/20171213-1.pdf

過去記事
土に何日残るの? グリホサートによる土壌の汚染1
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11689643.html

病原菌の増殖アスペルギルス属 グリホサートによる土壌の汚染2
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11710952.html

除草剤は安全?
https://josouzaigoenryokudasai.ti-da.net/e11559502.html




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